本講座について|中核人材育成講座 レーザーよるものづくり 旧経済産業省関東経済産業局委託事業(産学連携人材育成事業)

カリキュラム
※本ページはこれまでの参考資料となります

講義日程表   

レーザー加工基礎の基礎

開講前授業 レーザーデモ

レーザーの諸特性、加工現象の体感

光産業創成大学院大学 講師陣

レーザーやレーザー加工に触れる機会がなかった方向けの講義構成です。
本講座の内容を理解しやすくするための必要な概念の解説に加えて、レーザーやレーザー加工における諸現象を確認していただきます。  
◆レーザー導入に必要な基礎知識、レーザー計測、レーザー加工デモ、加工計測・観察

講義内容・講師紹介




レーザー加工技術概要(背景、位置づけ)

沓名 宗春

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 特任教授
株式会社最新レーザ技術研究センター 代表取締役
講義概要

レーザープロセシングとは、本講座ではレーザーを用いた各種材料の加工法を意味しているがそれに関係するレーザー計測法も含んでいる。その他に医療機器や、眼科や歯科で用いる機器などのレーザー加工も含めている。

特に、各種産業分野へのレーザー応用について全体的にまとめており、本講義では、レーザー機器の発展およびその産業への応用例を取り上げて講義する。 これらを通じて、レーザープロセシングの内容や歴史的意義を理解する。

レーザー光学の基礎

家久 信明

フォトンブレインジャパン 代表
講義概要

レーザー装置を安全性を確保しつつ動作させ、効果的にレーザープロセシングに使用するときに必要となるレーザー光の性質,レーザー装置,レーザー光の制御などの基本的な事項について述べる。

また、レーザーを扱うために必要な光学的な基礎知識(重要な専門用語)についても解説する。

(1)レーザー光と通常の光の違い
(2)理想的なレーザー光と実際のレーザー光
(3)レーザー光はどのように生成されるか?
(4)レーザー光の伝搬を制御するには?
(5)レーザー光の質を高い状態に保つには?

光・レーザーと物質の相互作用

藤田 和久

光産業創成大学院大学 光エネルギー分野 教授
講義概要

材料面にレーザー光が照射されたときに起こる物質の光吸収・反射、物質変化などあらゆるレーザープロセシングの基本となるレーザーと物質の相互作用と、それをもたらす主要な加工の要素などを学ぶ。

また、レーザー加工を行う上で必要な基礎知識(重要な専門用語)についても解説する。

(1) 物質と光の反射
(2) 物質と光の吸収
(3) 光と材料の相互作用
(4) レーザー加工の4要素

レーザープロセシング技術各論

村松 壽晴

日本原子力研究開発機構 レーザー共同研究所 所長
講義概要

昨今のレーザー加工技術に関する展示会などからも分かるように、高エネルギー密度と局所加工性など、優れた熱源としてのレーザー光の特性を背景として、多くの産業分野において様々な材料加工がレーザーを用いて行われている状況にある。

他方、レーザー加工において、意図した性能や製品を実現するためには、ここで発生する溶融・凝固現象などを含む複合物理過程を把握した上で、レーザー照射条件などを適切に設定する必要がある。 しかしながら、この条件適切化作業は、繰返しによる膨大なオーバーヘッドを伴うのが一般的であり、多品種少量生産などを指向する産業分野へのレーザー加工技術の導入を阻害する一因ともなっている。

講義では、加工材料にレーザー光が照射されてから加工が完了するまでの複合物理過程を定量的に取扱えるようにするために日本原子力研究開発機構で開発中の、計算科学シミュレーションコードSPLICEの概要と評価例、 およびオーバーヘッドの大幅低減を目指し、SPLICEコードをディジタルモックアップ装置として利用したフロントローディング実現に対する見通しを紹介する。

各種加工用レーザー:炭酸ガスレーザー、Nd:YAGレーザー

古田 啓介

三菱電機株式会社 名古屋製作所 レーザ製造部 発振器開発プロジェクト プロジェクトマネージャ
講義概要

今やレーザーなしでは情報化時代は語れないほど、産業分野へのレーザー活用が広がっている。本講義では、レーザーの基本的な原理から現在使われている主要な産業用高出力レーザーの歴史、用途、市場動向について説明する。

特に産業用途として活躍してきた高出力レーザーとしては炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーがある。これらのレーザーがどのように発展してきたか、どのような特性をもっているか、などを炭酸ガスレーザー、 YAGレーザーに特化してまとめる。またこれらのレーザーにおけるレーザ発振器において、レーザ発振の原理、多様な発振器の種類、主要な加工用途の伝送・集光光学系、加工の基礎を具体的な事例に基づいて解説する。

各種加工用レーザー:エキシマレーザー

今枝 茂樹

コヒレント・ジャパン株式会社 アドバンスド・テクニカルセールスグループ
講義概要

特に産業用途として活躍してきた高出力レーザーとしては炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーがあり、ここではエキシマレーザに特化してまとめる。

また、このレーザーにおけるレーザ発振器において、レーザ発振の原理、多様な発振器の種類、主要な加工用途の伝送・集光光学系、加工の基礎を具体的な事例に基づいて解説する。

エキシマレーザーは他のレーザーと比べて異なる照射の仕方となり、加工処理の概念も異なる。

このため、UV領域の高出力レーザーの扱い方や樹脂加工から医療応用についても解説する。

各種加工用レーザー:半導体レーザー

松本 聡

浜松ホトニクス株式会社 レーザー事業推進部 主任部員
講義概要

半導体レーザー(LD:Laser diode)が初めて発振してから50年の歳月が過ぎようとしている。その間の大きな技術的進展により、現在では図1に示した洋介様々な分野、アプリケーションにキーデバイスとして広く用いられている。特に光通信、光記録の分野では中心的な役割を果たしているが、近年LDの高出力化、高信頼性化の進展により、情報処理用の信号源としての役割に加え、高効率エネルギー源としての役割が期待されるようになった。

高出力LDは、まず固体レーザー(特にNd:YAGレーザー)の励起用光源として用いられた。固体レーザーの励起用光源として使う場合は、固体レーザー発振によるエネルギーロスを伴い、構成も複雑化するため、次第にLD光を直接加工に用いることが試みられるようになった。

他の加工用レーザーはミラーを用いた光共振器を組むため、調整が必要で安定性に問題があったが、LDは結晶面で共振器を構成するため非常に安定である。また、LDは他の加工用レーザーに比べエネルギー変換効率の点で群を抜いており、省電力化(低炭素排出)、低ランニングコスト化の点で極めて導入効果が高い。また、小型であるため省スペースが実現でき、工場レイアウト変更等にも柔軟に対応可能である。

本講義ではLDの基礎に触れた後、加工用の高出力LDの特徴及び特性について講義する。

半導体レーザーの特性

各種加工用レーザー:ファイバレーザー・ディスクレーザー

中村 洋介

トルンプ株式会社 レーザー事業部 レーザー技術部
講義概要

本講義では、加工用レーザー光源として急速に普及したファイバレーザーとディスクレーザーの比較を中心に、主に構造的な違いを解説し、その特性から使用される用途や産業への応用例について紹介する。 また、光源と加工機開発を行っているメーカーの立場からの市場に提供する装置紹介とともに、開発のトレンドについて紹介する。

(1) 各種レーザー発振器の発振構造
  (2) ファイバーレーザーの特徴
  (3) ディスクレーザ―の特徴
  (4) ファイバーレーザ―とディスクレーザ―の応用
  (5) 最新のレーザー加工技術

現在産業用途で使用されている代表的なレーザーは、発振媒質の種類で大きく気体レーザーと固体レーザーの2種類に分類される。気体レーザーの代表としては炭酸ガス(CO2)レーザーとエキシマレーザーが一般に多用されており、これらの発振器は過去数十年発振方式に大きな変化は無い。一方、YAGレーザーに代表される固体レーザーはロッドタイプのNd:YAGの時代が長く続いたが、過去約十年間において発振方式に大きな変化がもたらされている。その代表的がファイバーレーザーとディスクレーザーである。

ロッドタイプYAGの最大の弱点であった発振媒質部での熱レンズ効果を大幅に回避できる両発振器の出現により、ビーム品質・ビームモードの向上、小径ファイバーによるビームデリバリー、発振効率の向上、大出力化、発振器の小型化、発振器の安価化等々大きなユーザーメリットがもたらされている。

     

本講義では上記発振器の開発トレンドに加え、短波長化やセンサによるモニタリング技術、加工技術の進展についても紹介する。

         

ファイバーレーザーの発振構造ディスクレーザーの発振構造

レーサー加工に関わる周辺技術:レーザーを測定する方法

沖原 伸一朗

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 准教授
講義概要

本講義では、加工に用いるレーザーの特性をしっかりと計測評価し、実際のレーザーが加工に適した状態であるのかどうかを判断できる知識習得が目的である。

レーザーが目的の動作にて動いているのかどうかを判断するには、何を用いて、どうやって計測したらよいかについて、一般的な手法の解説や現場で直ぐに使える実践的手法について紹介する。

レーサー加工に関わる周辺技術:レーザーを制御する方法

沖原 伸一朗

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 准教授
講義概要

本講義では、加工に用いるレーザー光を自在に制御するための手法を学び、実際のレーザー加工が容易に行えるようにすること、自分でレーザーを操ることができる知識習得が目的である。

レーザーを自由に制御できるようになるには、何を用いて、どうやって計測したらよいかについて、一般的な手法の解説や現場で直ぐに使える実践的手法について紹介する。

レーサー加工に関わる周辺技術:レーザー加工物の観測・評価

瀧口 義浩

光産業創成大学院大学 学長
講義概要

本講義では、レーザー加工によって加工されたワークの加工面を観測する方法を学び、レーザー加工が適切になされているかどうかを判断する力を身につけていただくことが目的である。

レーザーの駆動条件や、レーザーの集光条件が変わることで、その加工が変わる。また、素材の特性の差異や素材の温度などでも加工が変わる可能性がある。

そのような素材起因による加工の変化を的確に把握し、用いるレーザーの特性と合わせて理解することで、加工の最適化を進めることができる。

レーサー加工に関わる周辺技術:加工光学系

岡田 健

住友電気工業株式会社 ハードメタル事業部 主幹
講義概要

レーザー加工に携わる際に、光学系に関する知識は欠くべからざるものである。レーザー加工機、レーザー加工技術の開発において、光学系の選定、設計の最適化が成功への近道となる。

顕微鏡や測定器など、光学を実用科学に適用する分野は多岐にわたるが、本講義では、レーザー加工における光学系ということに着目し、できるだけ基本的な事柄の解説を行う。

(1)レーザー光学系の基本的な構成
(2)レーザー光の伝搬について
(3)レーザー用光学素子
(4)高機能光学素子(DOE等)
(5)測定,評価装置

レーザー表面処理:金属材料の基礎

坪井 昭彦

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 教授
講義概要

本講座では、レーザーによる金属表面処理(レーザー焼入れ)を例題として掲げ、金属材料の基礎の説明、結晶構造の点からの金属硬化メカニズムについて解説する。また、平行状態図を用いたレーザー焼入れについて説明する。

レーザー表面処理:加熱プロセス

坪井 昭彦

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 教授
講義概要

レーザーによって、材料の表面を容易に加熱、溶融、蒸発させることができ、各種の表面処理・加工に利用されている。本講座では、それらの中から主にレーザー焼入れを事例とした加熱プロセスの特徴や応用について解説する。

レーザー表面処理:溶融プロセス

坪井 昭彦

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 教授
講義概要

レーザーによって、材料の表面を容易に加熱、溶融、蒸発させることができ、各種の表面処理・加工に利用されている。ここではそれらの中から主に溶融プロセスの特徴や応用について解説する。

キーワード:レーザー肉盛り、合金化

レーザー溶接の基礎

沓名 宗春

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 特任教授
株式会社最新レーザ技術研究センター 代表取締役
講義概要

レーザー溶接は現在、薄板から中厚板の材料まで溶接するのに広く利用されるようになってきた。電機産業はもちろん、自動車産業、宇宙・航空機産業、造船業まで、レーザー加工機器の出力が増加するほど、厚板の分野まで広がろうとしている。

アーク溶接に比べ入熱が少なく溶接変形が少ないことから、ますます高精度の溶接に利用されており、旅客機のスキンパネルの溶接にもレーザー溶接が適用されている。

ここでは、この加工プロセスの原理や特性を十分理解するために、基本特性を他の溶接法と比較しつつ示す。

各種金属のレーザー溶接(溶接特性)

沓名 宗春

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 特任教授
株式会社最新レーザ技術研究センター 代表取締役
講義概要

ここでは、実用金属材料をレーザー溶接する上で重要な金属の特性を理解するために、各種金属のレーザー溶接における諸問題について述べる。

金属を加熱・溶融すると相変態も生じ、溶融池がガスを吸収するなどして、気孔が生じたり、その後の冷却速度により、金属組織もいろいろと変化する。それに伴って、得られる溶接継手の性能も変化する。

本講義で各種材料のレーザー溶接時の問題点を理解し、問題点を解決する方法を紹介する。

レーザー樹脂溶着の基礎

山下 達人

オリヱント化学工業株式会社 第2開発部 部長
講義概要

近年、熱可塑性樹脂の新しい接合方法として注目されているレーザー樹脂溶着は、自動車部品を中心に電気・電子・光学部品などの分野において導入が進んでいる。

レーザー溶着法は、局所加熱が可能であり、超音波溶着・振動溶着と異なり、無振動・無粉塵の加工プロセスである。このことから、位置精度が求められる光学部品や電子基板を内包するセンサ部品などの接合において、特に導入が盛んである。

レーザー樹脂溶着技術は、日本では1980年代中頃にトヨタ自動車、本田技研から特許出願されているが、設備コストや適用材料が限られていたために、実用化までは至らなかった。その後、半導体レーザー(Laser Diode)の高出力化・低コスト化の流れに乗り、2000年頃から順次実用 化・応用開発が進められて今日に至る。

現在では、ようやく樹脂部材の溶着工法の1つとして広く認識され、導入が進んでいるが、当初予想されていたよりも普及の範囲は限定的である。その要因の1つとして、レーザー溶着では、取り扱う樹脂材料の光学特性を把握した上で、適用を考える必要があることが挙げられる。

一部の透明樹脂材料を除いて、一般的な構造部材に用いられる樹脂材料の光学特性に関して深く解説されている書物が少ないことに加えて、実際に樹脂部品の接合に携わる技術者も、樹脂材料の光学特性に注目することも少なかった。このことがレーザー溶着の技術普及の足かせになっていると考えられる。

そこで、本講義では、特に樹脂材料の光学特性に主眼をおいて、レーザー溶着技術の基本原理から、適用する材料に求められる特性について解説する。

レーザー除去加工:レーザー切断の基礎

金岡 優

三菱電機株式会社 産業メカトロニクス事業部 主席技師
講義概要

レーザー切断の作業現場を実際に経験し直面した課題の解決に対して、ヒントとなる基礎現象の解説と課題解決のための最新機能の紹介を求める声が多くなってきている。

ここでは、現場で実際の切断に携わる立場の方々、および管理者のための解説書となることを目的としている。

表面改質(レーザーピーニング)

部谷 学

大阪産業大学 工学部 電子情報通信工学科 教授
講義概要

加熱・溶融プロセスが熱源利用であったのに対し、レーザーピーニングでは、蒸発プロセスの反作用から生じる圧力を利用する。処理対象は金属材料である。溶接部や応力集中部にピーニング処理を行い、圧縮残留応力を付与し、疲労強度の向上などを実現する。

ここでは、レーザーピーニング時におこるレーザーアブレーション現象、ピーニングの原理・条件・効果・装置概要について講義する。

レーザー除去加工:レーザー穴あけの基礎

坪井 昭彦

光産業創成大学院大学 光加工・プロセス分野 教授
講義概要

レーザービームはエネルギー密度(パワー密度)が非常に高いので、瞬時に金属材料などを溶融・蒸発・除去する能力がある。本講義ではこの加工法の特性を紹介するとともに、産業分野での応用について解説する。

いかに、うまく光エネルギーを利用しているか学んでほしい。

レーザー除去加工:超短パルスレーザー加工の基礎

藤田 雅之

レーザー技術総合研究所 レーザープロセス研究チーム 主席研究員
光産業創成大学院大学 客員講師
講義概要

機械加工では、加工の目的に応じてドリルの種類や直径、バイトやフライスの種類を選択する。ボール盤に取り付けるドリルやカッタを選んで回転速度を調整しながら、穴あけ加工を行い最後に面取りカッタで仕上げたり、旋盤に取り付けるバイトとして片刃、中ぐり、突っ切りなどを選んだり、フライス盤のエンドミルで所望の加工を行う。

加工のためのツールとしてのレーザー光も同様である。ボール盤、旋盤、フライス盤を選ぶように、レーザー発振器の波長やパルス幅を選ぶ必要がある。本体に取り付ける刃先を変えるように集光レンズを変えたり、ドリルの回転速度を変えるようにレーザー照射の時間やパルスの繰返し周波数を変えたりすることになる。

また、旋盤やフライス盤の構造、刃先と加工物の間で起こる現象を理解することにより、加工条件の最適化や加工の限界を知ることができる。レーザー加工でも同様である。レーザー発振器の構造やレーザー加工現象を理解することがより良いレーザー加工を実現するために重要となる。

特に、レーザーのパルス幅は9桁以上もの広い範囲から選んでいくことになるので、パルス幅が変わることでレーザー加工がどのように変わるかを理解する必要がある。

本講義では、微細加工を得意とする短パルスレーザーに着目して、パルスレーザーの原理やパルス光と物質の相互作用について解説を行う。

産業応用:自動車産業における動向

樽井 大志

日産自動車株式会社 生産技術研究開発センター エキスパートリーダー
講義概要

自動車の生産工程においてレーザーは車体精度や部品の認識などの様々な計測用のツールとして、またプレス部品の切断・穴あけや、エンジンやトランスミッション部品の溶接、車体の溶接といった加工用のツールとして広く用いられている。

近年、レーザー発振器および加工機の性能や品質が著しく向上し、また低価格化が進む中で、レーザー加工の適用が拡大している。

本講義では、自動車産業におけるレーザー加工技術について、その歴史を振り返り、最近の注目する応用例を紹介しながら、現在どのような種類の加工にレーザーが用いられているかについてユーザー視点から述べる。

産業応用:重工業産業における動向 

山岡 弘人

株式会社IHI 技術開発本部 技術基盤センター 所長
講義概要

レーザー光を熱源として用いるレーザー加工は、低入熱・高精度・高速加工が可能であることから、幅広い産業分野での適用が期待されている。

しかし重工業分野における適用を考えると、部材が厚肉・大型である上に継手に対する要求品質が高いために、レーザー発振器の出力と発振効率、対象物の精度管理とハンドリング、加工そのものの安定性等において解決すべき課題が増えること、および少量生産であるために設備コストが製造コストに見合わないことなどから、普及はそれほど多いとはいえない。それが近年、ファイバレーザーやディスクレーザー等、新たなレーザー発振器の登場により、状況が変わりつつある。

このような中で重工業分野において、特にレーザー溶接を中心に、これまで実用化へとこぎつけている事例を紹介すると共に、ユーザー視点での今後の課題と方向性について述べる。

産業応用:ファイバーレーザーの産業応用

宮田 一成

IPGフォトニクスジャパン株式会社 セールス&マーケティング部
講義概要

現在、レーザー加工は産業界に欠かせない加工技術の1つになった。ただし、一般的な機械に比べると、特別な装置に分類されているため、作業者を含め、レーザー加工に関わる人たちは、新たな操作方法やメンテナンスを覚えなければならない技術でもある。

しかし、近年開発されたファイバレーザーは、メンテナンスがほとんど無く、レーザー発振器の調整を必要としないため、一般的な加工機のように、刃物である集光光学系の設定、工具の回転数であるレーザー出力や加工速度を設定し、周辺の切削油である、アシストガスを設定するぐらいで、加工ができるようになってきた。

また、ファイバレーザーは、導入時のイニシャルコストや生産時のランニングコストも非常に安くなり、ユーザとしても使いやすい加工機となっている。  

ここでは、ファイバレーザーを産業界に広めた代表的なメーカであるIPGフォトニクス社よりサプライヤー視点での欧米における産業応用について述べる。

産業応用:AM・レーザーコーティングの産業応用

塚本 雅裕

大阪大学 接合科学研究所 レーザープロセス学分野 教授
講義概要
 

金属粉末等をレーザーなどのエネルギー源を用いて溶融させてコーティングする技術に溶射(Thermal spray)やクラッディング(Cladding)がある。両技術は、製造業にとって非常に重要な積層技術である。クラッディングについては、欧米では盛んに研究開発がされてきたが、日本でも近年研究が進んでいる。

クラッディングのように積層を繰り返す技術は、数年前からアディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing:AM)と呼ばれ、レーザーを用いたAMのことはLAM(Laser Additive Manufacturing)と呼ばれている。

AMは、2012年末ごろからマスコミ等で取り上げられ、3Dプリンターとして一般によく知られるようになった。本講義では、LAMについてその原理と高品質な層を形成するために必要なレーザー基盤技術を紹介する。

次にLAMを高度化するために必要なレーザー光源およびレーザーシステムについて紹介し、最後に次世代のものづくりシステムの一つであるIoT環境下、AI(人工知能)搭載が期待される工作機械におけるLAMの役割について紹介する。

プロセスモニタリング・インプロセス制御による溶接の高品質化

片山 聖二

大阪大学 名誉教授
株式会社ナ・デックス 技術統括フェロー レーザR&Dセンター長
講義概要

各種産業界では、極薄板から厚板まで種々の板厚や形状の製品が各種溶接法で接合されている。各種溶接・接合法のなかで、レーザー溶接法は、ロボット化、自動化、省力化、システム化、ライン化などが容易であり、各種製品や構造物の高精度・低変形・高柔軟性・高品質・高速溶接法として最も有望な熱源として認められている。

特に、高品質・高機能・高信頼性の構造物や製品を作製するためには、レーザー装置の仕様と特質、溶接現象、溶接欠陥の発生条件と生成機構などを理解して欠陥防止法を確立し、溶接部の特性を評価する必要がある。

また、レーザーによる突合せ溶接の場合、溶接ビード幅が狭いため目外れを起こしやすく、継手の溶接位置やギャップ量をモニタリングおよびセンシングする技術が必要とされる場合もある。

そこで、レーザー溶接・接合技術に関連して、レーザー溶接時の基礎的な溶接現象と先進技術であるインプロセスモニタリング技術、センシング技術およびフィードバック制御・適応制御について概説する。

    

レーザ加工の安全

橋新 裕一

近畿大学 電気電子工学科 教授
講義概要

本講では、次に示す項目で解説する。
1.安全及び安全対策の基本
2.事故と保険
3.レーザーによる事故・事件例(アンケート調査結果を含む)
4.レーザーの性質と物質との相互作用
5.レーザーによる事故とヒヤリハットの詳細例
6.安全対策
7.安全基準と規制

レーザーは光の一種であり、光は電磁波の一種でもある。太陽光や電灯などの光と比べて、レーザーは次のような特徴を持つ。単色性に優れ、指向性・平行性が極めてよく、高出力性・高集光性を持ち、干渉性に優れている。これらの特徴を十分に理解することが、レーザーを知ることになる。

太陽光や電灯の光を微弱な光とすれば、レーザーは高強度な光と云える。したがって、高強度な光と物質との相互作用を考慮する必要がある。レーザーの照射形態には連続発振(CW)型とパルス発振型がある。パワー[W]は単位時間あたりのエネルギー[J]である。したがって、パワーと照射時間の積がエネルギーとなる。同じエネルギーでも、短時間で高強度パワーを照射する場合と、長時間で低強度パワーを照射する場合とでは物質に与える影響が異なる。前者は熱影響層が薄く、後者は厚くなる。

近赤外線領域のレーザーは最も危険な部類に入る。目に見えない光でありながら、眼に入れば、角膜、レンズ(水晶体)、硝子体を透過し、網膜で吸収される。一度露光されれば、網膜損傷・出血を招き、視機能が失われる。

したがって、作業者のみならず、周辺の関係者全員が安全(保護)めがねを装着しておくことが必須である。金属などの反射物や可燃物はできうる限り現場から遠ざける。 使用するレーザーの機種(波長、照射形態)を十分に理解し、予備実験を行っておくことは極めて重要である。安全・安心を確保できれば、レーザー加工は有効な加工技術である。

 

光を用いたものづくりに関するセミナー:品質工学(2020年度は実施しません)

ITEQインターナショナル講師
講義概要

タグチメソッド、レーザー加工への導入

事業化事例:事業化構想とその取り組み

若林 浩次

株式会社レーザックス 横浜レーザテクニカルセンター 副センター長
講義概要

学生時代から現在までレーザと加工と装置一筋、35年が経つ。この間はレーザ発振器、加工、装置の製品技術としてずっと携わってきた。中でも小型装置、例えばマーカー、カッター、スクライバー、リペア、トリマー、ウエルダーなど数々の装置を手掛けてきた。

アプリケーションとしても、半導体、薄型テレビ、太陽電池、自動車など多岐に渡る。そのような小型装置をご説明する中で、事業化としての成功や失敗の経験をご紹介することで、なるべく失敗しないようにするための方法について検討したいと思う。

また、当時と現在とでは日本のおかれたレーザと加工の事業環境が様変わりしているが、それでも変わらぬ部分の捉え方について、検討を加えられればと考える。

今現在レーザに係る事業を進行中の方、また今から事業を開始される方にとって、できる限り有益となるようなヒントをご提供する。

事業化事例:ハイパワーパルスレーザーの事業化事例

榊田 正之

株式会社タマリ工業 レーザシステム事業部 マネージャー
講義概要

ものづくりは、構想された品物に様々な加工を加え、元の素材を変化させ作り上げていく。

加工の種類には、素材に刃物を使って穴あけや削るなどの切削加工、金型を使ってプレス加工などを行う塑性加工、また、素材同士を溶かしたり、素材と素材の間に接合材などを使い、付け合わせたりする接合加工などが挙げられる。特にその中でも、穴あけや削るなどの切削加工は、ものづくりの基本となり、様々なものづくりには欠かせない加工技術と言える。

また、近年は商品の小型化や多機能化が要求され、高精度で高密度の部品など、MEMSをはじめとした小型部品、超微細加工が必要とされ、微細加工技術が開発され、発展している。

事業化事例:レーザージョブショップの事業化事例

刀原 寛孝

株式会社ナノプロセス 代表取締役
講義概要

レーザー加工技術導入において認識していただきたい事項について、レーザージョブショップを運営する立場より解説するとともに、レーザー加工の特徴・ポイントについて述べる。

レーザー加工の基本は、競合は何か?というところに視点を置くべきでこれが成功の鍵となる。 レーザー屋が加工や装置を事業としても長続きしない理由、他工法と比較してどのような時にレーザー加工を活かせるかを説明し、レーザー加工の条件探索についても説明する。

事業化事例:医療分野での事業化事例

足立 宗之

株式会社ニデック アイケア事業部 開発本部 先端技術開発部 レーザー開発課 主任技師
講義概要

人間の眼は、可視光線から近赤外線の領域の光を効率良く透過することができる。このため、古くから眼の診断・治療には光が用いられてきた。

1960年のルビーレーザー発振成功の翌年には、網膜剥離に対する光凝固の光源として使用された。その後も、新しいレーザー光源が開発されるとすぐにその特性を活かす応用を目指して、様々な研究が行われてきた。

眼科におけるレーザー治療装置を代表するものとして、Nd:YAGレーザーの第2高調波を用いた光凝固装置がある。この装置は、眼底の網膜色素でのレーザーエネルギー吸収によって局所的に照射組織の温度を上昇させ、たんぱく質凝固を行うものである。

また、近視治療などの角膜屈折力矯正には、パルスレーザーのArFエキシマレーザーが用いられる。波長が短いので角膜表面での光吸収が大きく、レーザーアブレーションで精密な角膜の形状加工が行える。角膜の曲率を変化させることで近視や遠視の治療が可能になる。

その他にも緑内障治療・後発白内障治療には、QスイッチNd:YAGレーザーが使われている。 最近では、眼科手術にも超短パルスレーザーが用いられるようになってきた。これは、多光子吸収を利用して、角膜・水晶体等の透明体内部の加工を行うものである。

現在では、LASIKにおける角膜切開や白内障手術における水晶体破砕・水晶体前嚢切開に応用されている。このフェムト秒レーザー手術装置の登場により、低侵襲治療・高精度治療が実現された。

その他にも老視矯正・白内障用眼内レンズ加工・眼底分光診断などへの応用研究が進められており、今後も患者のQOL向上のためおよびレーザー医療応用発展のために、超短パルスレーザー手術装置開発が試みられるものと考えられる。

事業化事例:ケーススタディ1【装置開発】(2020年度は実施しません)

門屋 輝慶

Laser technology Fountain 代表
講義概要

キーワード:新規加工システム開発、プロセスモニタリング、IoT、事業化検討

事業化事例:ケーススタディ2【AI(機械学習)と品質課題】(2020年度は実施しません)

森 清和

光産業創成大学院大学 特任教授
      
講義概要

キーワード:機械学習の基本的な考え方、線形回帰、ランダムフォレスト、ディープラーニング、加工パラメータ、ロバスト

レーザー加工実習(2020年度は実施しません)

実習1
CWレーザー、ナノ秒レーザー

実習1:CWレーザー、ナノ秒レーザー
静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター

ファイバレーザー溶接、レーザー樹脂溶着、薄板板金切断、レーザーカッター切断・彫刻

実習2
超短パルスレーザ

実習2:超短パルスレーザ
静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター

フェムト秒レーザー加工、微細ナノ加工、非熱的除去加工、ピーンフォーミング、透明体内部加工

実習3
高出力レーザー

実習3:高出力レーザー
株式会社最新レーザ技術研究センター

異種材料溶接、難切削材料加工(CFRP)、レーザーピーニング、レーザーマーカー



レーザー実習1
短パルスレーザー加工

レーザー加工実習1:短パルスレーザー
光産業創成大学院大学

フェムト秒・ナノ秒レーザー加工、高速走査加工(切断、穴あけ)、観察・評価(光学顕微鏡、マイクロスコープ等)

レーサー実習2
加工光学系の構築

レーザー加工実習2:加工光学系の構築
光産業創成大学院大学

加工光学系組立、光線追跡シュミレーション

レーザー実習3
レーザー計測

レーザー加工実習3:レーザー計測
光産業創成大学院大学

加工サンプル観察(顕微、SEM)、加工評価(応力等)、レーザープロファイル、レーザー時間波形計測