グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  イノベーション事例 >  光×中小企業 >  科学的根拠に基づくスポーツトレーニングに光技術が貢献。  株式会社日本スポーツ科学

科学的根拠に基づくスポーツトレーニングに光技術が貢献。  株式会社日本スポーツ科学


科学的根拠に基づくスポーツトレーニングに光技術が貢献

株式会社日本スポーツ科学 常務取締役 武田到範 さん

Profile:スポーツトレーナーの育成、トレーニング施設の運営等を行うアローズジャパン株式会社の常務取締役、兼、特定非営利活動法人 日本プロトレーナー協会副理事長。平成23年に本学入学。

株式会社日本スポーツ科学:静岡県浜松市中区新津町534  TEL. 053-411-1008

■主力事業に不可欠な機材が突然、製造中止に

開発したトレーニング機器と武田さん

武田さんが所属するアローズジャパン株式会社(現株式会社日本スポーツ科学)は、静岡県西部地域に鍼灸整骨院を7院、スポーツジムを3店舗運営する健康関連産業。昨年度の売り上げは3億7000万円にのぼり、まだまだ成長を続けている。特に成長著しいのはトレーニングジムの事業。「アローズジム」という名称で、小・中学生を対象に10年後のメダリストを育てるべく活動をしている。トレーニングと光技術、にわかには関連性が見出しにくいが、「動体視力トレーニング」という領域で見事に重なった。

「1980年代にアメリカから日本にスポーツビジョントレーニングが伝わってきました。当社は2008年ごろからこの分野に参入し、専用の機材を使ってトレーニングメニューを提供してきた」と語る武田さん。ところが、「動体視力の測定から効果判断、最適なトレーニングメニューの仕組みが整っていたのに、それを実現するための機材の製造が突然中止になってしまった。さぁどうしようと東奔西走していたときに光産業創成大学院大学と出会いました」と語る。

特殊なトレーニング機材のため代替品がなく、自前で開発しなければならないか…と考えあぐねていた時に、本学の石井教授に出会った。
「アローズジャパンのトレーニング事業は、最先端の科学的トレーニングを行う、言わばスポーツ塾なのです。プロのアスリートに匹敵する高度なトレーニングを子供に提供するうえで、スポーツビジョントレーニングは不可欠でした」と武田さんは続ける。

■本学入学の3つのメリット

トップアスリートのトレーニングで
小学生を鍛えている

スポーツビジョントレーニングとは、ディスプレイに表示される文字や光をできるだけ早く認知し、手足を動かす運動系に伝えられるように訓練するもの。科学的な根拠に基づいて運動能力の向上を推進する「スポーツ科学」の一翼を担うトレーニングだ。そのメニューが提供できないとなると同社にとって致命的。そこに現れたのが石井准教授だったわけだ。

「もともと視覚の分野は光技術の研究分野のひとつでした。目の機能を図ることは光制御技術の応用なので私の技術が役に立つと思いましたね」と石井准教授。

さっそく共同研究が始まり、進むほどに「あれもできる、これもやりたい」と研究範囲が拡大して、「それだったら入学してしまった方が早い」という展開になった。

「私は文系人間ですし、弊社も製造業ではありません。でも、光産創大との出会いによって自社のオリジナル装置を開発することができた」と武田さん。スポーツビジョンのトレーニング機材も1号機開発に続き、さらにコンパクトで使い勝手を改良した2号機や、55インチのタッチパネルを使う機材などバリエーションを拡大し、進化を続けている。また2014年8月にはスポーツビジョン研究会などで、トレーニングの有効性を発表。科学的なスポーツトレーニングの領域を確実に広げている。

武田さんに本学に入学したメリットを尋ねたところ3つの答えが返ってきた。1つ目は「機材開発の専門技術を紹介してもらったこと」。これにより、念願のトレーニング機材を自社開発することができた。そして2つ目は「ビジネスモデルのブラッシュアップができたこと」。スポーツ科学に基づくビジネスはまだ手の付けられていない領域が広く、本学での議論によってビジネスプランがより洗練されたものになった。最後が「商標登録、特許の際のアドバイスがもらえた」。中小企業者にとって知的財産管理は苦手な分野の1つ。大学側のサポートがその分野にまで及ぶ価値は高いと言えるだろう。

アローズジャパンは子供向けのスポーツトレーニングに加え、高齢者向けのトレーニングにも力を入れている。医療費の増大を抑制し、健康な高齢者を増やすうえでも脳に直結する目のトレーニングはとても重要。今後の展開が楽しみだ。

指導教員からのメッセージ

明確な事業ビジョン 石井勝弘 准教授

初めて会ったときに、スポーツは技術の鍛錬だけではだめで、基礎となるメンタル、ビジョン、フィジカルのトレーニング(MVPトレーニングと名付けたそうです)が必要で、ゴールデンエイジと呼ばれる小中学生の時期から行うことが重要であることを熱く語ってくれました。それでトップ選手ではなく、小中学生のためのスポーツ塾を開きたい、でも、ビジョントレーニングの機材がないということでした。
このような要望に応えるのが光産業創成大のはずだとの思いで、自分の研究テーマとは異なっていましたが、ビジョントレーニング装置の開発を引き受けました。 初めは製造中止の製品と同じ機能の装置の開発でしたが、新しいトレーニング機能や計測機能を加えた装置の研究・開発へと展開してきており、今では私の研究テーマの1つになっています。
アローズジムさん、メダリストを育てましょう。私は光技術でサポートします。

成長し続ける武田さんだからこそ 藤田和久 教授

武田さんは石井先生とタッグを組んで、次々と技術開発を成功させ、ビジネスへスマートに投入されているイメージがありますね。
大学では、全学生・全教員が集まって、進捗報告をしたり相談事についてアイディアを募ったりする「全体ゼミ」という機会があり、武田さんのお話も伺います。右肩上がりの発展の中で生じる課題を的確に捉え、そこに多くの知恵を結集して次の発展を作り上げておられる印象がとても強いです。
沈着冷静、包容力があって安心できる武田さんには、フィットするテクノロジーを惜しみなく提供するクールな石井先生をはじめ、成長したい多くの子どもたちも集っています。それはやはり、武田さんご自身が常に成長されているからなのだと思います。スポーツと光。その可能性も武田さんによって今まさに成長が続いています。
2016年10月掲載