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光の照射で見え方や性能が変化する繊維の開発へ。 やるべきことの見極めができたことが最大の収穫。 株式会社鈴木工芸所


株式会社鈴木工芸所 代表取締役 鈴木一広さん(在学生)

静岡県浜松市南区金折町1417-8  TEL 053-425-3400  http://www.suzukikougeisyo.co.jp/

■UV硬化樹脂の研究を視野に入学したが……

 光産業創成大学院大学のある静岡県浜松市は古くから綿織物の産地として知られ、高度に分業化された繊維事業者が多く立地してきた。グローバル化の進展によりその多くがコスト競争に敗れるなか、独自のアイデアで新しいニーズを発掘し、活路を切り開く企業もまた少なからずある。鈴木さんが代表を務める鈴木工芸所もその一つ。もともとビニールレザー手捺染(てなっせん)という特殊な分野で事業を行ってきた鈴木工芸所は、綿生地へのスクリーン捺染、デジタルプリント分野を中心に、ラミネート、撥水、スリップ防止などの付加価値を添えた複合的な綿織物の加工場として稼働している。
 そんな鈴木さんが本学に入学を決めたのは、「既存分野以外への進出の可能性を求めて」のこと。入学時点では、「UV(紫外線)硬化樹脂の可能性」について研究をしようと考えていた。
 「ちょうど、塩ビ素材上に印刷をする際に、紫外線を照射してインクを固めるUV硬化インクジェットプリンタを購入したばかりで、印刷条件の設定に問題を抱えていたのです。本学を訪問する機会がありましたので、お会いした先生に尋ねたところ、そのテーマで研究をしませんかと勧められて入学することになりました」と鈴木さん。
 「それまで学術的に研究したことなどなかったのですが、入学後に学会に入るなどして先端の情報を集めるようになり、この分野の深さがわかってきました。当社で扱うべきテーマなのかも慎重に検討した結果、UV硬化樹脂ではなく、頭のなかにあったもう一つのテーマにフォーカスすることに決めました」と語る。
 資源の限られた中小企業にとっては、取り組むべきテーマの優先順位を決めるのも大切なこと。曖昧なイメージのなかで、やるべきかやらざるべきかを考え続けるよりも、詳細な調査の結果として「やらない」決断をすることも大きな意味を持っている。

株式会社鈴木工芸所
代表取締役 鈴木一広さん

■従業員のモチベーションが上がる商品開発を

 鈴木さんが考えたもう一つのテーマというのが、「光が当たることで見え方や性能が変わる繊維」の研究。本学の学生の多くはレーザーなどの光源を使って、光を「当てる」側を研究しているのに対し、光が「当たる」側の視点に立って、その付加価値化に挑戦することにした。詳細はまだ明かせないが、これまでにない性質をもった繊維の開発を通して、会社の資産を生かしつつ、世の中の課題を解決しようとしている。
 「本学の講義を通して、当社がこれから何をやらなければならないか掘り下げることができました。新商品に結びつく技術開発のサポートに加え、経営者としてやるべきことが見えてきたことが、現時点で感じる最大の成果だと思っています」と振り返る。


 この夏、鈴木さんはパリの雑貨展を視察した。ヨーロッパの成熟市場に向けて、鈴木工芸所から提案できるものはないかの調査が目的だ。そこで発見したのがテーブルウエア市場の可能性。「フランスでは月に1回は友人知人を招いてホームパーティを開くそうです。テーブルウエアはパーティを演出する主要なアイテムの一つで、一つの提案できるものはないかの調査が目的だ。そこで発見したのがテーブルウエア市場の可能性。「フランスでは月に1回は友人知人を招いてホームパーティを開くそうです。テーブルウエアはパーティを演出する主要なアイテムの一つで、一つの家庭で何種類も持っているというんですね」と鈴木さん。撥水加工の技術が生きる大きな市場に期待が膨らむ。
 「勤めている会社が、ヨーロッパで売っている商品を作っているとか、ユーザーが直接手にする商品を開発しているとかいうことは、社員にとっても、やりがいやモチベーションにつながります。働いている人の満足を高めるためにも、当社でやるべきことをしっかり見定め、一歩一歩確実にやっていきたいですね」と鈴木さんは笑った。

鈴木工芸所が得意とするUV加工の生地を使った商品

パリの雑貨展にて