研究内容:ナノ粒子計測
研究内容
- 低コヒーレンス動的光散乱法の開発
- ナノ微粒子の形状・サイズ同時計測法の開発
- 低コヒーレンス動的光散乱微鏡の開発
01. 低コヒーレンス動的光散乱法
動的光散乱法は、散乱光の時間ゆらぎから散乱体内部の動的情報を計測する方法であり、物理、化学、高分子学などの研究分野、および、コロイド粒子、顔料、エマルジョン等の粒質測定などの産業分野で広く利用されている。液体または気体からの散乱光は、媒質内の粒子や分子の拡散、回転、振動などにより時間的にランダムに揺らいでいる。動的光散乱法では、散乱光強度の時間相関関数またはパワースペクトルを測定することで、媒質内部の動的情報を評価する。濃度が希薄な媒質では、検出される散乱光は媒質内で1回だけ散乱された単散乱光のみであるとみなすことが出来るため、散乱光の時間相関関数と散乱媒質内部の動的情報は非常に簡単な関係で表すことができる。そのような媒質に対しては、動的光散乱法によって媒質内部の動的情報の正確な評価が可能である。一方、濃厚媒質では、媒質内で複数回散乱された後に検出される多重散乱光が支配的となり、散乱光の時間相関関数と散乱媒質内部の動的情報の関係は非常に複雑になるため、動的光散乱計測が困難となる。
光源に従来のレーザーの代わりにスーパールミネッセントダイオードなどの低コヒーレンス光源を用いる方法が低コヒーレンス動的光散乱法である。この低コヒーレンス動的光散乱法は、低コヒーレンス干渉計を用いることで、特定の長さの光路を伝播した散乱光のみを選択的に検出し、その時間相関関数、または、パワースペクトルを測定する。それによって、光路長分解された動的光散乱計測が可能である。また、十分に短い光路を伝播した散乱光のみを検出することで、濃厚媒質に対しても従来の動的光散乱法と同じ動的情報を得ることも可能になる。
光源に従来のレーザーの代わりにスーパールミネッセントダイオードなどの低コヒーレンス光源を用いる方法が低コヒーレンス動的光散乱法である。この低コヒーレンス動的光散乱法は、低コヒーレンス干渉計を用いることで、特定の長さの光路を伝播した散乱光のみを選択的に検出し、その時間相関関数、または、パワースペクトルを測定する。それによって、光路長分解された動的光散乱計測が可能である。また、十分に短い光路を伝播した散乱光のみを検出することで、濃厚媒質に対しても従来の動的光散乱法と同じ動的情報を得ることも可能になる。
図1は、低コヒーレンス動的光散乱法の測定システムを示す。本測定システムは光ファイバーマイケルソン干渉計を基礎としている。スーパールミネッセントダイオード(SLD)からの光を2×2ファイバーカップラーで2分割し、一方を散乱媒質に、他方を参照光として反射ミラーに照射する。反射ミラーはピエゾ素子によって周波数2kHz、振幅0.18mmで振動しているため、参照光は位相変調されファイバーカップラーに戻る。さらに、参照光の光路長を制御するために、ピエゾ素子は移動ステージ上に取り付けられている。散乱媒質からの後方散乱光はファイバーカップラーに戻り、参照光と同時に光検出器で検出される。検出された光強度から、散乱光の時間ゆらぎのパワースペクトルを測定する。
測定される光強度のパワースペクトルは、散乱光強度揺らぎのスペクトルと散乱光と参照光の干渉成分のスペクトルから成る。散乱光強度揺らぎのスペクトルは、参照光の位相変調の影響は受けないために、0Hzを中心に広がっている。また、従来の動的光散乱法で測定されるスペクトルと同じであり、多重散乱光の影響を受けている、一方、散乱光と参照光の干渉成分のスペクトルは、参照光を位相変調しているため、2kHzを中心に散乱光との干渉成分が現れる。低コヒーレンス干渉計では、光源のコヒーレンス長が短いために、参照光の光路長とほぼ等しい光路長の散乱光成分だけが参照光と干渉する。つまり、干渉成分のスペクトルは、特定の光路長の散乱光の時間揺らぎのみを反映している。したがって、干渉成分のスペクトルのみを取り出すことにより、光路長分解した動的光散乱計測が可能となる。
また、多重散乱光の影響を受けない短い光路長を伝播した散乱光のスペクトルを測定することで、高濃度媒質に対しても単散乱光スペクトルの測定が可能となり、従来の動的光散乱法と同じ計測が可能となる。図2は、3種類の体積濃度10%の単分散ポリスチレン粒子懸濁液、低コヒーレンス動的光散乱法は、高密度粒子の粒子径を精度よく測定可能である。本方法で、体積濃度が20%以上の高濃度ナノ粒子の粒子径計測が可能である。
測定される光強度のパワースペクトルは、散乱光強度揺らぎのスペクトルと散乱光と参照光の干渉成分のスペクトルから成る。散乱光強度揺らぎのスペクトルは、参照光の位相変調の影響は受けないために、0Hzを中心に広がっている。また、従来の動的光散乱法で測定されるスペクトルと同じであり、多重散乱光の影響を受けている、一方、散乱光と参照光の干渉成分のスペクトルは、参照光を位相変調しているため、2kHzを中心に散乱光との干渉成分が現れる。低コヒーレンス干渉計では、光源のコヒーレンス長が短いために、参照光の光路長とほぼ等しい光路長の散乱光成分だけが参照光と干渉する。つまり、干渉成分のスペクトルは、特定の光路長の散乱光の時間揺らぎのみを反映している。したがって、干渉成分のスペクトルのみを取り出すことにより、光路長分解した動的光散乱計測が可能となる。
また、多重散乱光の影響を受けない短い光路長を伝播した散乱光のスペクトルを測定することで、高濃度媒質に対しても単散乱光スペクトルの測定が可能となり、従来の動的光散乱法と同じ計測が可能となる。図2は、3種類の体積濃度10%の単分散ポリスチレン粒子懸濁液、低コヒーレンス動的光散乱法は、高密度粒子の粒子径を精度よく測定可能である。本方法で、体積濃度が20%以上の高濃度ナノ粒子の粒子径計測が可能である。
図1
図2(a)
図2(b)