坪井 昭彦 副学長

坪井 昭彦
Akihiko Tsuboi
光(レーザー)加工の産業応用を支援します。
副学長 / 工学士 京都大学

専門分野

  • 光(レーザー)加工
  • 周辺機器開発
  • 事業創業 ・自動車産業
  • 重工(航空宇宙、エネルギー)産業
  • 医療機器産業等

レーザー加工技術を“手の内化”したい企業約150社のコミュニティを形成

2018年度レーザー学会産業賞を受賞した「レーザーによるものづくり中核人材育成講座」をコーディネート

講座の実践的な機能を重視し、リピーターを獲得

先日、レーザー学会産業賞を受賞した「レーザーによるものづくり中核人材育成講座事業」は2010年(平成22年)にスタートしました。レーザー技術の普及活動とその成果が評価されての受賞です。この4月に講座のプロジェクトコーディネータを引き継ぎましたが、その前は事務局として、さらにその前は講師として関わっていました。現在は募集開始後すぐに席がいっぱいになってしまうという人気講座になりましたが、開始当初は受講者を集めるのに非常に苦労したことを覚えています。
というのも、当初は広範に当講座の知名度を上げることを優先したために、毎年新しい企業にアピールしようと考えていたのです。ところが、考えてみると受講生はほぼ100%、レーザー技術に興味のある企業から派遣されてきます。であれば、派遣企業の経営者を満足させ、「来年も社員を派遣したい」と思っていただくほうが、受講生を集めやすいはずです。私自身、前職はレーザー関連の企業の役員をやっていましたので、経営者側の思惑は容易に理解できました。

そんなこともあって当講座は受講生とその派遣元である企業の満足度を高めるために、様々な手段を講じています。まずはカリキュラムの充実です。2016年(平成28年)には文科省と厚労省の認定をとるため、講座内容を大幅に見直し、認定の条件となるトータル120時間のカリキュラムへと拡充。この認定により、従来は中小企業の社員だけ支給されていた補助金を大企業の社員も利用できるようになり、幅広い参加者の受け入れが可能になりました。

またベーシックコースで14日間のカリキュラムのなかにケーススタディを2日間用意し、異なる企業から派遣されてきた受講生を何チームかに分けてブレーンストーミングしてもらう時間を作りました。最初は知らない同士でも、丸一日ブレストをしていると、気心も知れ、企業の枠を超えたコミュニケーションが始まります。このほかにも要所要所で講座後に懇親会を開催したり、SNSで受講者同士が情報交換できるようにしたりと、コミュニティが生まれる仕掛けをしてきました。

講座終了後の継続的なフォローが最大の特徴

当講座の最大の特徴は、受講終了後も主催者である大学が継続してフォローするという点です。過去の受講生からの技術的な質問にも、引き続きメールなどで対応しています。ある中小企業の社長は、講座終了後も非常に熱心に質問を送ってきました。何度かのやりとりの結果、本学に入学してさらに深く研究をすることになり、現在はレーザー技術を活用した新たな事業展開を順調に進めています。別の企業はまず社長が受講し、翌年から毎年社員を派遣するようになり、ついにはレーザー関連のベンチャー企業を立ち上げるまでになりました。

このように当講座への参加をきっかけに、問題意識を深め、本学に入学したり新たな事業展開をしたりするケースが増えています。受講者はいずれもレーザー技術を自社の“手の内化”したい企業から来ていますので、ベクトルは同じです。ライバルもいますが、課題を解決し合うパートナー候補として有力な仲間が揃っていると言えます。

当講座は2010年から9年間にわたって155社から合計301名 の受講生を受け入れてきました。近年は人数の制約から受講をお断りすることもあるため、さらに多くの受講生を受け入れるために定員を増やす方向で検討を進めています。加えてレーザー加工に関するコミュニティとして年々規模が大きくなっており、これを支えていくために運用の仕方を整備していくことも考えています。レーザー加工に関わる人材と実践的な情報が集約する場所として、拡大発展をさせていきたいですね。

講座参加の感想

 表面処理へのレーザー応用開発を進めるため、すぐに使えるレーザー加工の知識習得を目的に、本講座を受講しました。わかりやすい教材、学びやすい環境が用意されており、知る楽しみを実感しました。関西からの参加で大変な面もありましたが、次の講座を待ち遠しく思っていました。講座修了後のサポート環境も整っており、これからレーザーに関わる必要のある方にはもってこいの講座だ思います。この講座で得た知識や人的繋がりは、今後もきっと役に立つと信じています。 (トーカロ株式会社 横田 博紀 氏)
弊社は、プラスチックを切削する工具のメーカーです。レーザー加工技術を用いれば、工具の刃先に使われる多結晶ダイヤモンドを意のままに成形することが出来るようになり、世の中にない新しい工具が作れるのではと考え受講しました。
レーザーに関しては初心者だった私ですが、講師の先生方や、受講生の方々との交流により、多くの有益な情報を得ることが出来ました。受講後、光産創大へ入学、産学官連携、サポイン事業、特許出願、大手企業との共同開発に繋がり、研究開発型企業へと成長するターニングポイントとなりました。
(株式会社内山刃物 内山 文宏 氏)

レーザー加工受託事業の創業
加工実験、試作から量産加工対応まで

1983年、自動車部品メーカに勤務しつつ、レーザー受託加工事業立上げ企画に着手。
1988年、株式会社レーザックス設立に参加。(http://www.laserx.co.jp/
 

事業内容

  • 各種レーザー加工受託(切断、穴あけ、溶接、表面改質等)
  • レーザー加工用周辺機器、装置の開発と製造販売
  • レーザー加工に関するコンサルティング

水中レーザー切断による原子炉解体技術
日本原子力研究開発機構、若狭湾エネルギー研究センターとの共同研究

原子炉施設の廃止措置は、作業員が放射化した原子炉本体の解体作業に直接従事できないため、放射線防護の観点から、遠隔操作で原子炉本体の構造材を切断・解体するしかありません。遠隔操作性に優れ、また非接触で切断幅の狭いレーザーを用いた水中切断は二次的に発生する放射性廃棄物の発生が少なく、放射線の遮蔽と放射性廃棄物の環境拡散防止に効果があり、作業員の被ばく対策に大きく寄与するメリットがあることから、有力な原子炉解体技術として実用化に向けた研究開発を進めています。

レーザー加工用周辺機器の開発
用途目的に応じた各種レーザー加工ヘッド

市場及び顧客ニーズに応えるべく、ビームプロファイル成形加工、リモート加工、 超高出力レーザー加工、多目的加工等加工ヘッド等を開発して参りました。 これまでの材料加工と周辺機器開発の経験を基に、多様な加工要求に対応します。

キーワード

  • レーザー加工技術高出力ファイバレーザー、短パルス固体レーザー、エキシマレーザー、半導体レーザー 切断、穴明け、溶接、表面改質、自動車部品、航空機部品、医療機器、原子炉施設
  • 周辺機器開発加工ヘッド、加工システム、加工用治具開発
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