副学長 藤田 和久

藤田 和久
Kazuhisa Fujita
光のエネルギーを宇宙で、地上で利用します
副学長 / 博士(工学)大阪大学

専門分野

  • レーザー工学
  • 宇宙工学
  • 太陽光発電産業

連携内容

  • 共同研究
  • 技術相談(レーザークリーニング、光無線給電等)

メッセージ

0から1を創るのは、1を10にするのと異なり、広めの許容幅を持って走りながら進む面白さがあります。その自由をご一緒に楽しめればと思います。

It’s NEW

材料と環境2026(腐食防食学会)でレーザー素地調整を発表(2026)

 鉄橋や鉄塔のメンテナンスでは、さびを綺麗に除去する技術が求められています。特に再塗装後の耐久性を高めるには、さびとともに海塩や凍結防止剤などの「塩分」をしっかり取り除くことが極めて効果的です。これまで学生や企業とともに10年以上にわたり開発・実用化を進めてきた「レーザーを用いた新工法」について、その原理や装置、工法、および再塗装後の腐食耐久性に関する開発当初からの進歩・発展を発表しました。
 2016年以降、鉄道橋などで用いられる重ね塗り塗装(c-3、T-7塗装系)の腐食耐久性が早期に示された一方で、処理速度の遅さや一部条件における耐久性への影響も課題として指摘されていました。しかし、その後の研究開発により、現在では道路橋で主に用いられる塗装系(Rc-I塗装系)を含めた高い腐食耐久性と、優れた塩分除去性能が確認されています。講演では、レーザーの安全性や現場での運用面も含めた概要をお話ししました。
 長くご指導いただいている先生からのお誘いがあり、この度入会した学会にて発表の機会をいただきました。会場には2016年以降お世話になった諸先輩方が数多くいらして、「研究が進んだね」と労いのお言葉を頂戴し、全くの素人だった開発初期からの変化を実感でき、大変うれしく思いました。

月面エネルギー基地におけるレーザーエネルギー伝送の検討(2025)

「月面におけるエネルギー関連技術開発(技術課題整理)」報告書が三菱総合研究所・日本宇宙フォーラムより経済産業省に提出され、2025年8月13日に公表されました。私はレーザーによるエネルギー伝送技術を担当し、技術調査やフェーズごとの技術実証プログラムの検討を行いました。経済産業省 報告書PDF
 足掛け5年にわたる検討でした。多くの専門家が集まったものの、当初はコロナ禍のためオンライン会議が中心となり、終盤になってようやく対面でお会いすることができました。土木、建設機械、電力、宇宙機、月面など、多様な分野の専門家の方々から多くのことを学び、レーザーの検討に一層の深みを持たせることができ、大変感謝しております。
 当初は「鶏が先か卵が先か」という手探りの状況の中、専門家集団が前向きに議論を重ね、知恵が結集されていくプロセスや現場の雰囲気が何より刺激的で楽しいものでした。また、今回の検討は「レーザー素地調整」と同じ種類のレーザー装置をベースにしており、地上でのインフラメンテナンスと月面開発という全く異なる領域でありながら、根幹となる技術が共通している点も非常に興味深いと感じています。

東京インデペンデンツのIPO特別セッションにて,パネラー出演しました(2025)

 2025年5月12日に TiB(Tokyo Innovation Base)で行われた,東京インデペンデンツ(主催:特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ)のIPO表彰・特別セッションに登壇しました.
 老朽化したインフラのサビや塗膜等をレーザーで除去する「CoolLaser」の製造・販売事業における基礎技術は,本学との協同により確立されました.知財戦略を含めた振り返りと今後の展望について,3人で議論しました.
 あらためて,現場に根差した独創性のある技術の創出と知財の両輪が,またオープン&クローズ戦略が,新事業にとっていかに重要かを痛感したセッションでした.長く応援してくださった方々の前で共有できたことはうれしかったです.

(特別セッション)
・株式会社トヨコー 代表取締役CEO 豊澤 一晃 氏 ※2025年3月28日 東証グロース市場に上場
・光産業創成大学院大学副学長 藤田 和久 氏
・弁護士法人内田・鮫島法律事務所 代表弁護士 鮫島 正洋 氏
 

新しいレーザークリーニングの土木建設分野への普及


レーザーによるさび取り技術をユーザーと一緒に作り、土木建設分野への普及を図っています。国内のインフラ老朽化対策では、適切な維持管理手法が必要で、鉄橋・鉄塔などのさびや古くなった塗膜をきれいに除去した上で再塗装し、長期延命する上手なさび取り技術が求められています。

潜在ニーズを持つ企業(学生)と、新しいレーザークリーニング技術を同大の沖原伸一朗先生と一緒にゼロから創りました。従来技術では、光のエネルギーが足りないとわかり、連続波(CW: Continuous Wave)を円環状に高速スキャンする新しいアイディアで対応しました(受賞2017)。この開発成功については、対話型コミュニケーションとして研究もされ(宮本淳子、増田靖:日本コミュニケーション研究48(1)5(2019)),走りながら人と開発品が柔軟に進化していく重要性が指摘されています。
【動画あり】Yahoo!ニュース特集インフラ老朽化を救う静岡発の新技術(2018)
さびを除去するレーザー光は強力ですので、機械安全・労働安全を確立すべく、(一社)レーザー施工研究会に参画して、安全ガイドラインの作成や作業者・管理者の皆様向けの教育も含めた資格制度の創設・運用にも携わっています。加えて,再発錆の大敵となる海からの飛来塩分や凍結防止剤の塩を効率的に蒸発させて除去できる点が最も大きな特徴のひとつであることもわかってきました。塗装の各種耐久性試験の実績も積み上がってきているところです("高出力CWレーザーがもたらす地上インフラ維持管理の産業化と宇宙インフラ構築の可能性." レーザー研究 51(9): 567-572. 2023年)。

新しい工法ですので、評価法も新たに必要です。業界、研究機関、日本規格協会の皆様方のご支援の下、日本産業規格(JIS Z 2358レーザー照射処理面の除せい(錆)度測定方法)の選定にも深く関与しました(2019)。
技術は人のためにあり、さらに実用化にはその周辺の多くの仕掛けが必要です。関係される皆様方を大切に想う姿勢と、具体的なアイディアを実現する能力が求められます。まだまだ知恵も技も足りないですが、CWレーザーを用いたレーザー宇宙太陽光発電など、これまでの研究経験をベースにした応用問題への取り組みが時間をかけて一つの形になってきました。2匹目、3匹目のドジョウを学生とともに創り出そうとしています。

光無線給電:レーザー宇宙太陽光発電

くもりや夜のない宇宙空間では太陽光エネルギーが地上の約10倍あります。このエネルギーを得て、宇宙から地上へレーザーで送る発電所が作れるのか,を研究しています。そのレーザーは上のテーマでも登場した連続波レーザーです。こちらの研究の知見が役に立ちました。
特に最近では,米国を中心に世界で月面基地建設の検討やそれを前提にした探査が盛んに行われており,km規模で分散する基地内の施設間において,電力伝送に用いることはできないか,検討しています。地球の静止軌道(高度3.6万km)上から地上への伝送に比べるとはるかに短い距離でやりやすいのですが,月面上にある微細な砂が,レーザービームが出てくる窓やレーザー光専用の“太陽”電池の表面にくっついて邪魔をしないか,気を揉みながら検討しています。
太陽光を集めレーザーに変えて地上へ送る(JAXA提供)

地域における光技術の産業化のしくみ作り

A-SAP(エーサップ)という地域の取り組みに教員仲間とともに参画しています。企業様の「やってみたい」を大学側が形にしてみるものです。静岡県西部地域を中心に、県外含めた大学や地元金融機関などが協力しあってチーミングして進めます。
試作がゴールのプロジェクトですが、事業の観点からその目標設定をみんなで話し合って決めたり、終了後も個別にご一緒したりと、この地域から産業が生まれる土壌を、具体的な行動により醸成できればと思っております。
A-SAP(エーサップ)産学官金連携イノベーション推進事業。静岡県と浜松市の予算および研究機関と金融機関の協力の下、フォトンバレーセンターが2018年より実施。

主要な学術研究・社会貢献活動

  • CWレーザークリーニングの土木建設分野への普及
  • 光無線給電:レーザー宇宙太陽光発電
  • 光技術の産業化のしくみ作り

キーワード

  • レーザークリーニング、レーザーと物質の相互作用、高出力レーザー、レーザー光学系
  • レーザー宇宙太陽光発電 レーザー無線エネルギー伝送、大気中のレーザー伝送特性、レーザー光電池、放射線照射
  • リチウムイオン電池正極のリチウムイオン分布 粒子線励起ガンマ線放出PIGE、レーザー生成陽子線
  • 光による昆虫制御 LED球開発、光による捕虫
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