副学長 藤田 和久

藤田 和久
Kazuhisa Fujita
光のエネルギーを宇宙で、地上で利用します
教授 / 博士(工学)大阪大学

専門分野

  • レーザー工学
  • 宇宙工学
  • 太陽光発電産業

対応事項

  • 共同研究
  • 技術相談(レーザークリーニング、光無線給電等)

メッセージ

0から1を創るのは、1を10にするのと異なり、広めの許容幅を持って走りながら進む面白さがあります。その自由をご一緒に楽しめればと思います。

新しいレーザークリーニングの土木建設分野への普及

レーザーによるさび取り技術をユーザーと一緒に作り、土木建設分野への普及を図っています。国内のインフラ老朽化対策では、適切な維持管理手法が必要で、鉄橋・鉄塔などのさびや古くなった塗膜をきれいに除去した上で再塗装し、長期延命する上手なさび取り技術が求められています。
潜在ニーズを持つ企業(学生)と、新しいレーザークリーニング技術を同大の沖原伸一朗先生と一緒にゼロから創りました。従来技術では、光のエネルギーが足りないとわかり、連続波(CW: Continuous Wave)を円環状に高速スキャンする新しいアイディアで対応しました(受賞2017)。この開発成功については、対話型コミュニケーションとして研究もされ(宮本淳子、増田靖:日本コミュニケーション研究48(1)5(2019)),走りながら人と開発品が柔軟に進化していく重要性が指摘されています。さびを除去するレーザー光は強力ですので、機械安全・労働安全を確立すべく、(一社)レーザー施工研究会に参画して、安全ガイドラインの作成や作業者・管理者の皆様向けの教育も含めた資格制度の創設・運用にも携わっています。加えて,再発錆の大敵となる海からの飛来塩分や凍結防止剤の塩を効率的に蒸発させて除去できる点が最も大きな特徴のひとつであることもわかってきました。塗装の各種耐久性試験の実績も積み上がってきているところです("高出力CWレーザーがもたらす地上インフラ維持管理の産業化と宇宙インフラ構築の可能性." レーザー研究 51(9): 567-572. 2023年)。
【動画あり】Yahoo!ニュース特集インフラ老朽化を救う静岡発の新技術(2018)
新しい工法ですので、評価法も新たに必要です。業界、研究機関、日本規格協会の皆様方のご支援の下、日本産業規格(JIS Z 2358レーザー照射処理面の除せい(錆)度測定方法)の選定にも深く関与しました(2019)。
技術は人のためにあり、さらに実用化にはその周辺の多くの仕掛けが必要です。関係される皆様方を大切に想う姿勢と、具体的なアイディアを実現する能力が求められます。まだまだ知恵も技も足りないですが、CWレーザーを用いたレーザー宇宙太陽光発電など、これまでの研究経験をベースにした応用問題への取り組みが時間をかけて一つの形になってきました。2匹目、3匹目のドジョウを学生とともに創り出そうとしています。

光無線給電:レーザー宇宙太陽光発電

くもりや夜のない宇宙空間では太陽光エネルギーが地上の約10倍あります。このエネルギーを得て、宇宙から地上へレーザーで送る発電所が作れるのか,を研究しています。そのレーザーは上のテーマでも登場した連続波レーザーです。こちらの研究の知見が役に立ちました。
特に最近では,米国を中心に世界で月面基地建設の検討やそれを前提にした探査が盛んに行われており,km規模で分散する基地内の施設間において,電力伝送に用いることはできないか,検討しています。地球の静止軌道(高度3.6万km)上から地上への伝送に比べるとはるかに短い距離でやりやすいのですが,月面上にある微細な砂が,レーザービームが出てくる窓やレーザー光専用の“太陽”電池の表面にくっついて邪魔をしないか,気を揉みながら検討しています。
太陽光を集めレーザーに変えて地上へ送る(JAXA提供)

地域における光技術の産業化のしくみ作り

A-SAP(エーサップ)という地域の取り組みに教員仲間とともに参画しています。企業様の「やってみたい」を大学側が形にしてみるものです。静岡県西部地域を中心に、県外含めた大学や地元金融機関などが協力しあってチーミングして進めます。
試作がゴールのプロジェクトですが、事業の観点からその目標設定をみんなで話し合って決めたり、終了後も個別にご一緒したりと、この地域から産業が生まれる土壌を、具体的な行動により醸成できればと思っております。
A-SAP(エーサップ)産学官金連携イノベーション推進事業。静岡県と浜松市の予算および研究機関と金融機関の協力の下、フォトンバレーセンターが2018年より実施。

主要な学術研究・社会貢献活動

  • CWレーザークリーニングの土木建設分野への普及
  • 光無線給電:レーザー宇宙太陽光発電
  • 光技術の産業化のしくみ作り

It’s NEW

「レーザー照射処理施工士」「レーザー照射処理管理技士」の資格制度に貢献(2021)

土木建設分野の新しい道具を開発し,普及にあたっての人材育成として,(一社)レーザー施工研究会が制定した民間資格です。講習会に用いられるテキストの作成や講義について,レーザーの基礎,レーザー照射処理の基礎,施工時におけるレーザー安全の部分を中心に担当し,毎年の資格者の創出に貢献しています。

「レーザー照射処理に関する安全ガイドライン」策定に貢献(2021)

土木建設分野の新しい道具を開発し,普及にあたっての安全な工事現場の作り方を定める,(一社)レーザー施工研究会が制定したガイドラインです。レーザー安全の部分を中心に担当しました。上の資格制度の礎です。

照明学会論文賞(2020)CWレーザーを用いた明るい照明(光源)の研究で、学生が主著の共著論文(2018)で受賞しました

新しい光源なのですが、点灯時に課題があってアイディアをもって解決し、そのメカニズムも解明した研究です。

JIS Z 2358レーザー照射処理面の除せい(錆)度測定方法(2019)

中小企業の尖った技術の標準化を支援する経産省の「新市場創造型標準化制度」に(株)トヨコーが本学と協力して提案し、制定されました。

フジテレビ ホンマでっか!?TV出演(2018)

次項の報道などがきっかけでレーザー工学専門家として「日本の問題点これで解決SP」にてレーザーさび取り技術の紹介で出演。さんまさんのしゃがれ声が聞き取れるまで30秒。本田翼さんは本件ご興味ないとのことで、インフラへの信頼感を感じました(笑)。

Yahoo!ニュース特集 インフラ老朽化を救う静岡発の新技術(2018)

NHKサイエンスZEROで取り上げられたレーザーさび取り技術の連動報道。発明技術の説明で紹介。

機械振興協会 新機械振興賞 審査委員長特別賞(2017)

「レーザー光による塗膜除去装置」が新たな機械とされ、(株)トヨコーと共同受賞。本学側担当は沖原伸一朗先生と小生。

キーワード

  • レーザークリーニング、レーザーと物質の相互作用、高出力レーザー、レーザー光学系
  • レーザー宇宙太陽光発電 レーザー無線エネルギー伝送、大気中のレーザー伝送特性、レーザー光電池、放射線照射
  • リチウムイオン電池正極のリチウムイオン分布 粒子線励起ガンマ線放出PIGE、レーザー生成陽子線
  • 光による昆虫制御 LED球開発、光による捕虫
ページの先頭へ戻る