株式会社フォトンラボ 木暮 繁さん

株式会社フォトンラボ 木暮 繁さん
Photonics Challenge2021 ファイナリスト


登壇後、本コンテスト支援機関から1億円の出資を受け、世界初となるレーザー打音検査技術の社会実装を加速。現在は、国土交通省鉄道局主管のSBIRフェーズ3に採択され、6億円の補助金のもと、鉄道施設向けの新技術開発を推進中。光技術を軸にインフラ計測の未来を切り拓くフォトンラボ。革新の歩みは加速し続けている。
                                                                                      資金調達       ビジネスモデル構築   
                                                                                    人脈づくり 

 

光学技術の複合的活用によるインフラ計測事業- インフラ領域における光計測産業の創成 -

― 事業の内容を教えてください。
日本のインフラ老朽化が深刻化する中、特にトンネルのコンクリート剥離・崩落事故への対策が急務となっています。フォトンラボは、現行のトンネル老化点検は検査員の打音検査に頼る老朽化対策に対する様々な課題に対して、光学画像計測とレーザー打音検査を組み合わせた独自技術により、遠隔・非接触・定量・自動化された検査を実現。従来の検査に比べて時間を1/4、コストを3/4に削減を目指し、国土交通省道路局の技術認定も取得しています。

この技術は、理研・量研・計測検査などの国研・企業との連携により開発され、産学官協力による社会実装モデル「社会実装フォトンラボモデル」として、国家プロジェクトの新たな実装形態として認知され、実証実験による成功を収めています。鉄道・高速道路・自治体・建設コンサルなどを対象に、機器販売と計測サービスの本格的な社会実装に向けて取り組んでいます。
― 類似の事業との違いはなんでしょうか。
類似の事業との最大の違いは、世界中で技術的に不可能とされてきた「光による遠隔打音検査」を実現した点にあります。フォトンラボのレーザー打音検査装置は、非接触・定量・自動化を可能にした世界初の技術であり、従来の人的検査に代わる革新的な手法です。さらに、画像計測との連携により、位置精度と記録性を高め、現場での信頼性を大きく向上させています。
― 光技術をどのように活用していますか。
レーザー光で構造物表面をプラズマ化し、発生する振動を光センサーで解析することで、遠隔・非接触・定量・自動化された検査を実現。従来の打音検査に代わる新技術として、インフラの安全性と維持管理の効率化に貢献しています。
― 参加しようと思ったきっかけは何ですか
理化学研究所の紹介で参加しました。自分で組み立てたビジネスモデルの実効性を確認するために参加しました。
― メンタリングの効果はありましたか?
仕事の組立を客観化できたことで、非常に効果がありました。ありがとうございました。
― 参加して、良かったと思うことを教えてください
自分流の仕事の進め方が、評価されました。それをベースに次のステップに挑戦できました。

また、参加を通じて、資金調達に加え、以下のような成果も得られたことです。

  • 事業化の進展:「魔の川」を超え、「死の谷」を乗り越える状況を作り出すことができました。
  • 人脈づくり:上場会社・大学の人脈が追加されました。
  • ビジネスモデル構築:「社会実装フォトンラボモデル」として内閣府のSIP報告書の中に記載されています。
― これからPhotonics Challengeへの参加を検討される方にメッセージをお願いします
自分の考えている技術や事業に関して、他人に分かるようにまとめ、評価をいただくというステップは非常に重要です。これを超えなければ新しい事業は起こせません。
ただし、発想や技術が革新的であればあるほど、他の方の理解を得られないことが多くなります。
Photonics Challengeの結果が満足いかない場合にも、それがすべてではなく、その時点の外部評価と自分のプレゼン能力と考え、より大きな発展を組み立てるための一つの参考であり、通過点と考えるのがよいと思います。
― 今後のビジョンをお聞かせください
インフラ保守派社会的に必要不可欠な巨大産業であるが、検査機器の市場は小さいため、データ販売や他分野への応用などを進め、収益確保を図る必要があるほか、市場として確立される中でフルタイムの業務対応・継続的術革新も求められ、国研発ベンチャーである当社の現在の体制では対応は難しい。

今後、資金とそして組織的な対応が必要となることから、本格的社会実装に入った段階で、大企業へのM&Aなどの出口戦略を視野に入れています。さらに将来的には、この新たなビジネスモデルを他業界へ展開するとともに、後継者の育成にも取り組んでいきたいと考えています。
― 登壇後のご活躍
  • 令和2年度彩の国ベンチャーマーケット【埼玉県知事賞受賞】
  • 中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR フェーズ3 基金事業)
「鉄道施設の維持管理の効率化・省力化に資する技術開発・実証」6億円【採択】2024年2月【決定】2024年4月
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